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演劇の台本は作品の成否を決めるポイント

2019/03/08

 演劇の台本は作品の成否を決めるポイント

演劇ではスクリプト、映画ではシナリオと呼ばれる台本

名作と言われる演劇や映画は監督や演者にスポットライトが当たることが多いものですが、作品の設計図とも言える台本のクオリティーも、高い評価を受ける場合は大いに寄与しています。英語では区別されており、演劇の場合はスクリプト、映画の場合はシナリオと言います。これが優れていれば作品が評価されるチャンスは広がり、そうでなければ駄作となることがよくあります。 著名な監督が台本に手書きで変更点や感想メモを書いたもの、俳優が自分なりの解釈をせりふの横に書き込んだものなどは、おのおのの芸術にかける情熱が伝わってくるものとなっています。印刷物が持っているリアル感や手触り感は独特のものです。同じ内容をタブレットやスマホの画面に表示すれば情報は同じですから、印刷物でなくてもよいような気がする人もいるでしょうが、依然として印刷したものが表現の世界では必要不可欠なものとして存在しています。 演劇におけるスクリプトの中身は、役者のせりふ、舞台装置や情景表現のイメージ、音楽、カメラの距離や高さ、アップのタイミングなどいろいろな分野の指示が書き込まれています。つまり2次元の表現を舞台という3次元の表現に変換する役割を担っているのです。その形式は長年にわたって制作現場で変更され、改善されて、監督の意図が伝わりやすく、演じる人たちやスタッフが作品に対する共通認識をしっかり持てるようなスタイルに昇華されています。スクリプトの中身であるせりふやト書きのロゴやフォント、全体のデザイン、表紙の色合いまで含めて、質の高いスクリプトを必要部数印刷し、管理をすることが重要です。

せりふの列記だけではない台本

芸術文化の普及に歴史的貢献をしたのが、1450年ごろドイツ出身の金属加工職人グーテンベルグが発明したと言われる活版印刷技術です。これによって、羊皮紙に手書きするなどの方法でごく一握りの特権階級しか得ることができなかった知的情報が、印刷文字による情報の拡散によって一般階級の人々に急速に広がりました。芸術の世界では歌劇や演劇映画などが印刷物である台本を媒体として発展していきました。 台本には長い年月をかけて到達した一定の様式というものがあります。せりふだけが並んでいるわけではありません。例えば、公園のベンチとか古びたカフェといった場所を示す項目は長四角で囲んであり、これは柱と呼ばれます。演者は柱の部分に着目することで、自分が今から演じる場所を直感的にイメージできるのです。また役者の動きや心理状態などを伝えるト書きも重要な要素ですから、一目瞭然のデザインやレイアウトでなければなりません。ト書きはページのどの位置に書くのかというデザイン上の約束事もある程度統一されています。パソコンがあれば素人でも簡単にクオリティーの高いものが作れるというわけではなく、制作上の約束事やルーティンを把握している専門会社の存在意義がそこにあります。 監督、演者、脚本家が常に同じメンバーで作品を作るというケースはまれで、むしろいろいろな人物の組み合わせで新しい作品を作り上げていくのが一般的です。よって、どんな組み合わせでも作品の意図や内容がスムーズに理解できるように、ある程度ルール化された台本が必須です。パソコンが普及して文章自体は手書きではなくなりましたが、だれもが脚本の中身に違和感なく作業に入っていける様式をきちんと踏襲した印刷物が現代でも必要とされています。少部数ですからコンビニのコピー機などで作れそうに思えるでしょうが、一流のものを作ろうとするならば、確立されたフォーマットを正確に再現できる印刷テクノロジーやノウハウを持っている制作会社に依頼をすることが求められます。

台本は印刷技術と健全な制作マインドが必要

同じ印刷媒体でも、書籍や新聞などと演劇の台本とは決定的な違いがあります。それは印刷部数です。人気作家の作品は累積で1億部を超えるケースもありますし、新聞は1日に数十万部から数百万部印刷されます。一方で台本は制作や表現に関わる人々以外が手にする必要がないものですから、印刷部数はわずかです。少ないのだから自宅のコピー機で作ろうという考えもありますが、高い芸術性を追求するような作品に使う台本は、印刷フォントや用紙、装丁やとじ込み方式など、それなりのクオリティーが必要です。作品作りの出発点となるものですし、何を作っていくのかという認識や情熱を共有するためのものだからです。著名な劇団などが公演する作品の場合は、しっかりした実績がある台本印刷の技術を持っている専門会社に依頼をすることが一般的です。 とりわけ脚本家にとって台本は自分が生み育てた子供のような存在です。勝手な改作や利用は認められません。日本で現在非常に人気がありヒット作を連発している劇作家は、当初演じた役者が交代した場合は必ず書き直します。それほど思い入れがあるものなのです。また、部数が少ないがゆえの重要な留意点があります。それは著作権と作品内容の保秘です。 オリジナルの台本には基本的に知的財産権が規定されていますので、記載された文章はもちろん、絵コンテ、写真などは肖像権、著作権、商標権や意匠権などの工業所有権の侵害から守られる存在です。もし文章が別の作品からのコピーであったり、内容が別の作品と酷似していたりする場合はトラブルになることもあります。きちんとした制作会社であれば、そうした点をクリアしたものしか扱いません。またわいせつ性の高いものや性風俗系のものに対する受注規約を厳格にしている制作会社は信用できます。監督や演者が能力を最大限に発揮できるような台本の印刷技術、製本技術、物作りに対する健全なマインドは長年の実績と信用から生まれるものであり、IT技術が進化した現代でもタブレットなどデジタル媒体に取って代わられることがない理由でもあります。

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