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【放課後印刷教室1】「台本」ってそもそも何ですか?

2017/02/06

 【放課後印刷教室1】「台本」ってそもそも何ですか?
    皆様は「台本」というとどんなイメージを持ちますか?一般の方にとっては、「小さいときに学芸会の劇の練習で使ったな」、とか「テレビで俳優や芸人がバラエティ番組で話題にしてたな」ってな感じで、実際には目にしたことも手にしたこともほとんどなく、中身についても「あれでしょ?セリフが書いてあるんでしょ?」といったような認識がほとんどだと思います。手元の「広辞苑」(岩波書店 第六版)にて「台本」を調べてみるとそこには一言こう書いてあります。「セリフの書いてある本」・・・随分そっけないですね(笑)。確かに劇中演者たちが言う「セリフ」は、台本の重要な要素ですが、それだけでは「台本」とは呼べません。
    現在「台本」と呼ばれる本には、登場人物のキャストだったり、監督だったり、カメラ割だったりが記録されてるものがほとんどですが、これらの情報もその本を決定的に「台本」たらしめている要素ではありません。もったいぶらずに言いましょう、「台本」の本質とは、「劇中に起こる事象が、時系列順に記録されていること」です。劇中動くのは、登場人物の口だけではありません。キャストたちは動き回りますし、場面が変われば舞台となる場所も、季節も変化します。これらを作品内に流れる時系に沿って、誰にも読める一冊の本の形にまとめたものが「台本」なのです。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/徳川吉宗

    https://ja.wikipedia.org/wiki/徳川吉宗

    台本の起こりは日本においては、江戸中期までさかのぼることができます。8代将軍徳川吉宗の治世下の享保17年(1732)に上演された歌舞伎「傾城妻恋桜」の台本が発見されており、この本が、現在でいう「台本」の体裁を整えているという点で最古のもののようです。ビデオやDVDといった「映像を記録するもの」が何もなかった時代、「後世に残したい作品」を伝承する手段として編み出されたであろう「台本」。一読すればセリフだけでなく、舞台装置や演出の情報までを、製作に関わるすべての人間が把握し共有することができるという、まさに「発明」でした。
    その革新性と利便性は、前述したような映像記録メディアが多種多様にある現在においてもなお、何かと置き換わることなく使用されているという事実が、証明していると思います。
    ちなみ「台本」という言葉の語源ですが、諸説あるのですが、「台本の台は、土台の台」という説が一般的です。その作品の正しく「土台」となる本という意味ですね。個人的には、台本はその作品の「設計図」と考えるのが一番しっくりくると思っています。

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